オダギリジョーの映画

初めて観たけど、なにこの人!
かっこいいんでないの!!
役どころは、一見ちゃらんぽらんな東京在住売れっ子カメラマン。
えんじ色の革ジャンに赤のベルボトム、赤のメッシュに顎ひげ。
加えて女たらしときた。
もっとも近寄りがたいタイプだ。
こんな男にひっかかってたまるか!
てな憎しみのまなざしで構えてしまうのがワタクシのウブなところですけど、
なんかこう雰囲気の漂わせ方がうまくて
あっというまに目がハート型になって飛び出した!
ただし。
近頃の映画俳優は腹から声が出ていないのか、ボソボソと今風のラフな感じで喋る場面のとき
やたら聞きとりづらいのだ。
それでは役者とは呼ばないぞ私は!と叫びたくなるわけ。
小さな声を出すときこそたくさんの力がいるのだ。
舞台俳優をやって勉強せい!そしたらボソボソも通る声になるだろう!
で、私は何様だ!


たぶん観た人は「舌出せよ」のシーンにうっとりしたと思うけど
私もその一人だけど!
メイクアップ練のときオダギリ話で盛り上がって
「ゆれる?みたみた!あの・・『口あけろよ』でしょ!!」
と、チャイ姉さんオシかった。
「舌出せよ」です・・・


で、その問題の「舌出せよ」。
それがただのエロ男で終わらないのは、西川美和監督の演出力だと思う。
例えばセックスの場面では女の顔を追うだけで
裸だとわかるけどおっぱいひとつみせなかったこと。
男の顔をまったくうつさなかったこと。背中がゆれていたこと。
のぞきみるような角度、やわらかなライト。


延々つづく過激な行為はありふれていてあんまり残らない。
静かに嗅覚にうったえるような瞬間的な映像こそ
観る人の想像力をかきたてムラムラ中枢を突付き、
いつまでもリフレインして鼻のあたりに焼きつくのだ!


ゆれにゆれた私は、幼なじみのようこちゃんの名言
「女心はくすぐるんじゃダメ!ゆさぶらなくちゃ!」
というのを思い出したのだった。

もちろんこれはオダギリ・Jの“醸し出す”演技あっての説得力(!?)だが
あとで観てみた時効警察やビッグリバーの彼はそこまで好きではなかった。
よって西川美和監督がエロスのベテランなのだ!
(私は杉本彩か!)
ところが前作の「蛇イチゴ」といい
大きなテーマは「家族愛」っていうのがまた、
肩透かしにあったみたいで興味をそそる。
「ゆれる」は、もしも家族が犯罪者になってしまったら・・
という誰しも痛いところを突かれる心理描写が衝撃的だった。
とにかくシリアスとコミカルとバランスが絶妙。
これからの作品も注目だ。





先日、仕事中に建物が一瞬グラっとゆれ
地震だ!と騒いだが、そう感じたのは私一人だった。
あとで誰かが調べたら震度1だったそうだ。
これからも私は「ミス感度」の座を守ります。