AM6:10

電話が鳴る。

画面に出た名前は「クシコ」。

あらゆるドキドキを胸に電話に出たら、やっぱり。

かけてきたのは、女のライバル、0歳児のモエだった。

前にも私に電話してたことがあったと聞いていた。


「モエ?モエかい」


ガサッゴソッ


「モ〜エ!」


ガサッゴソゴソゴソッ・・・・



どうやら電話はモエの手元にあるようだ。

そっか、子供にとってケータイ電話はただのおもちゃだよね。

私の声もおもちゃの一部なのだろう。

でもガサゴソという動きで返事してくれたんだと思った。

クシコママ曰く、「なぜいつもヨシコに?発信履歴ナシ登録番号も呼び出せそうもないのに!まぢ疑問!」

・・・ねえ!ほんと、まぢ疑問です!

きっと、会うたび私「おっぱい飲むか?」って言ってるから

腹減ったけどママ起こすの悪いからしゃあないわ、アイツの乳!

って思い出して電話したんじゃなかろーか!

やべー!乳出ねーー!

いやいや、偶然だとしてもやっぱり2回目ともなると。

あまりにも不思議で、ものすごく楽しい朝だった。

その日いちにち、得体の知れないものに守られてるような気がして

笑いが止まらなかった。


いったいモエは、誰なんだろう。