甥っ子タイキとリョウマは同じ歳のいとこ同士。

気の合う二人は久しぶりに会えば別れがたくなり、必ずどちらかの家に泊まる。
タイキはどこでも熟睡派。
しかし人んちで眠ることができない子っているけどリョウマがそのタイプ。
毎回チャレンジしては夜おそくにジカチュウドクみたくなって
両親が迎えに来てあえなくリタイアとなる。
それを何度か繰り返して、みんなが気づいた。
迎えに来てくれると思うからチュウドクになってしまうのだと。
今度からは、帰ることができないという設定にすればいい!
そこまでして、と思うかもしれないが、
泊まりたくてしかたがない本人にとっては切実な問題なのだ。
わかってる!でもできない!と歌ったのは橘いずみだ。


去年の夏、リベンジの日。
誰も迎えに来ないことを承諾したリョウマが泊まることになった。
私も戦闘態勢に入った。
「よっちゃんは、ほね折って運転できないから送っていけないよ」
本当は左手でばりばり運転していたが、まあそう嘘をついてみた。

そして夜がきた。
リョウマの苦手な夜。それは自分んち以外でむかえる夜のことだ。
やはり気持ち悪いと言い出して吐いてしまった。
ちゃんとトイレでやるところが気ぃ使いぃでなおさら心配。
真っ青な顔で大丈夫大丈夫と、つくり笑顔製造工場はフル稼働。
がんばれリョウマ!
一同おどおどしながらも、花火しようぜ!という作戦に出た。
リョウマは「花火やったら気持ち悪いのなおるかも!」
なんてはりきって外に飛び出した。
しかし、ものの1分でやはり口をおさえてトイレに駆け込んでしまった!
さすがに心配だったけど、ここで踏ん張らなくてはリョウマだって男になれない。
みんな歯をくいしばる。


お風呂にも入って、いよいよ寝る時間がやってきた。
リョウマはタイキが寝たあともぶつぶつ独り言をいってなかなか寝付けなかったみたいだが、
よっぽど疲れたのか無事に眠ってくれた。
そしてすがすがしい朝を迎えることができたリョウマの凛々しい顔には本物の笑顔があった。
やったねリョウマ!あんた男だよ!
それからというもの、お泊りは平気になったようだ。
やれやれ。




で、今年。
二人ははしゃいでおそーくまで起きていた。
アラレちゃんが大好きな二人と繰り広げられた濃厚なミッドナイトトーク


私「アラレちゃんに出てくる太陽ってサングラスかけてるよね。」


リョウマ「うん。太陽は宇宙に布団敷いて寝てて、寝ぼうしたときは歯みがきしながら出てくるの。」


タイキ「そうそう」


リョウマ「あと、たまに温泉に入ってるよね、太陽なのに。やっぱ手があるのがすごい、太陽なのに。」


タイキ「そうそう」


盛り上がる私「ガッチャンて二人いるときなかった?」


リョウマ「いるいる!あれは繁殖したの。ちなみにおぼっちゃまんが未来を見に行ったらガッチャンが8人いたらしい。」


私「ええええええ!」


リョウマ「ガッチャンの唯一苦手なもの、なにか知ってる?」


私「知らない。」(知るわけない)


リョウマ「ゴム。タイヤは中身だけ食べてあとは残すの。」


タイキ「そうそう。ガッチャンは最初のは緑色の髪で、二人目が黄色の髪。」


リョウマ「俺はマンガしか読んでないから色がわからない。」


すごい会話だった。リョウマはオタクか!
そして最後の妙なおさまり具合・・・!
世代問わず愛されているアラレちゃんにも敬意を表したい。
タイキは太陽に興味なかったみたいで序盤はたぶん知ったかぶりでそうそうとうなづいている!
でも最後は切り口を変えて対抗してきたのでさすが私の甥だ。(親バカならぬオババカ)


兄弟とはちがう変に補い合える距離感。
やっぱりいとこ同士って絶妙な関係だなあ。